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ー炭酸ガス溶接とは?ほかの溶接方法との違いやメリットを紹介ー
2024.05.24
「炭酸ガス溶接って何?」
「ほかの溶接方法とどう違うの?」
炭酸ガス溶接と聞いても、どのような溶接を指しているのかわからない人もいるのではないでしょうか。
炭酸ガス溶接は、別名「CO2溶接」または「炭酸ガスアーク溶接」と呼ばれます。
アーク溶接の一つであり、そのなかでも「半自動溶接」と呼ばれる、機械と手動を組み合わせた溶接方法です。炭酸ガス溶接は、二酸化炭素を使って溶接をするため、強く接着できることが特徴です。
今回は、炭酸ガス溶接の概要やほかの溶接との違い、メリットやデメリットを徹底解説します。
炭酸ガス溶接や半自動溶接に興味のある人は、ぜひチェックしてみてください。
炭酸ガス溶接とはどんなもの?
炭酸ガス溶接は、二酸化炭素ガスをシールドガス(溶接中の金属を大気にある酸素や窒素などから保護するもの)として用いるアーク溶接の一種です。CO2溶接とも呼ばれることがあります。
炭酸ガス溶接は、高温のアークを二酸化炭素ガスで覆うことで、溶融金属が酸化するのを防ぎ、頑丈な溶接が可能です。また、二酸化炭素ガスは安く手に入れられることから、経済的な溶接方法でもあります。
自動車製造や建設現場など中厚板の溶接に広く用いられていますが、溶け込みが深くスパッタが多く発生するため、薄板の溶接には向いていません。
炭酸ガス溶接は「半自動溶接」と呼ばれる溶接方法の一つです。
半自動溶接とは、トーチ(溶接を行う器具)にて溶かすワイヤー(溶接材料)が機械から自動で供給され、作業者がトーチの操作のみを行って溶接する方法です。ワイヤーの送給は自動であるものの、溶接作業は人の手で行うため、半自動溶接と呼ばれています。
また、ワイヤーが自動供給されることで作業効率が高く、コスパと質を両立させた方法となっていることから、幅広い場所で利用されています。
半自動溶接には、炭酸ガス溶接以外にも「MIG溶接」「MAG溶接」があります。
炭酸ガス溶接とほかの溶接方法との違い
ここでは、炭酸ガス溶接とほかの溶接方法の違いをわかりやすく説明していきます。
ほかのアーク溶接との違い
炭酸ガス溶接とほかのアーク溶接の一番の違いは、使用されるシールドガスです。
そもそもアーク溶接とは、アークと呼ばれる放電現象を利用し、熱で溶接棒を溶かして金属同士を接合する方法です。CO2溶接では、自動的に送給されるワイヤーとCO2ガスを使用した溶接です。
炭酸ガス溶接とほかのアーク溶接に使われるシールドガスの違いは以下の通りです。
・炭酸ガス溶接
シールドガスには二酸化炭素(CO2)ガスを使用します。ガスは安価で入手しやすいため、コストが抑えられるメリットがあります。
・ほかのアーク溶接
シールドガスには不活性ガス(アルゴン、ヘリウムなど)が使われます。不活性ガスは価格が高くつくものの、酸化を抑えられることから高品質な溶接ができます。
つまり、炭酸ガス溶接はシールドガスがお手頃価格なのが魅力である一方、品質面では不活性ガスを使った他のアーク溶接に劣るのです。
また、炭酸ガス溶接とアーク溶接の違いとしては、溶接の速度や効率性もあります。
炭酸ガス溶接は、半自動溶接のため、全て手動で行うアーク溶接と比較すると生産効率が高いです。そのため、大量生産ラインや複雑な溶接作業に適しています。
MAG溶接との違い
MAG溶接とCO2溶接の違いとしては、CO2溶接の方がスパッタの数が多いことが挙げられます。
MAG溶接とは、シールドガスとして二酸化炭素と不活性ガス(ヘリウムまたはアルゴン)の混合ガスを使用する溶接方法です。
不活性ガスを含むMAG溶接は、溶融池(溶接中アークなどの熱によってできた溶融金属のたまり)が安定しているため、スパッタが比較的少なくなります。
一方の炭酸ガス溶接は、二酸化炭素ガスのみをシールドガスとして使うため、溶融池が乱れやすく、スパッタの発生量が多くなるのです。
MAG溶接ではスパッタが抑えられることから、より美しい仕上がりとなります。ただし、その分炭酸ガス溶接よりはコストが高めとなっています。
MIG溶接との違い
炭酸ガス溶接はMIG溶接と比較すると、炭酸ガス溶接の方が溶け込みが良いことから、強度のある溶接が可能です。
MIG溶接とは、シールドガスに不活性ガス(ヘリウムまたはアルゴン)を用いて行われる溶接方法です。
MIG溶接の特徴としては、炭酸ガス溶接やMAG読接ではできない非鉄金属の溶接が可能なことです。また、ほかの溶接方法よりもきれいに仕上げられます。
一方、炭酸ガス溶接はアークと化学反応を起こし、炭酸ガスと間に発生した反発力でアークが細くなることから、熱エネルギーが伝わりやすくなります。
そのことから溶け込みが早くなり、MIG溶接と比べて強度の高い溶接が可能となるのです。
炭酸ガス溶接の5つのメリット
ここでは、炭酸ガス溶接のメリットを5つにわけて説明します。
低コストである
炭酸ガス溶接は、シールドガスに比較的安価な炭酸ガスを使用するため、低コストで溶接が可能です。不活性ガスよりも経済的なため、コストを抑えられます。
深い溶接ができる
炭酸ガス溶接では、サーマルピンチ効果(アーク放電路を空冷または水冷方式で強制的に冷却した際に、生じたプラズマ柱が細く絞られる現象)によりアークが収縮し、熱が局所的に集中します。そのため、深い溶け込みが得られ、溶接強度が高くなります。厚い材料でも一貫して深い溶接ができるのです。
溶接スピードが速い
炭酸ガスとアークの化学反応により、アークが細くなり熱が集中します。そのため、溶接スピードが速く、溶け込みも深くなるため、作業効率が非常に良くなります。
また、高速溶接によって、熱による材料の歪みや変形のリスクが低減されるため、品質の向上にもつながるのです。
さまざまな種類の金属に対応している
炭酸ガス溶接は、鉄、ステンレス鋼、アルミニウムなどさまざまな金属に対応可能です。この多用途性から、自動車、建築、船舶、家庭用品など、幅広い分野で活用されています。
スラグが発生しづらい
炭酸ガス溶接では、スラグ(溶けた金属から分離して発生する金属のカス)が発生しにくいのが特徴です。スラグを除去する工程が不要になるため、作業効率が高くなります。
炭酸ガス溶接の2つのデメリット
最後に、炭酸ガス溶接における2つのデメリットを説明します。
スパッタが多い
炭酸ガス溶接では、他の溶接方法に比べてスパッタが多く発生してしまいます。スパッタとは、溶接時にアークの勢いで溶けた金属が飛び散り、母材に固着してしまうものです。
スパッタが多いと見た目が悪くなり、仕上がりの美しさが損なわれてしまいます。そのおもな原因は、溶接プロセス中のアークの不安定さや、溶接条件の不適切な設定などにあります。
このように、炭酸ガス溶接ではスパッタの発生が避けられないこともあり、見た目が重視される製品には向いていないとされています。
酸化を完全には防げない
炭酸ガス溶接におけるもう一つのデメリットは、酸化を完全には防げないことです。
おもに炭酸ガスをシールドガスとして使用するこの溶接方法では、不活性ガスが使用されるものの、わずかに酸素を放出する可能性があります。
そのため、酸化を完全に防ぐことは困難なのです。
まとめ
今回は、炭酸ガス溶接の概要やほかの溶接との違い、メリットやデメリットをわかりやすく説明しました。
炭酸ガス溶接は「CO2溶接」または「炭酸ガスアーク溶接」と呼ばれます。
アーク溶接の一つであり、なかでも「半自動溶接」と呼ばれる、機械と手動を連動させた溶接方法です。
炭酸ガス溶接に興味のある方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
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