新着情報

ー溶接に欠かせない冷却方法がどのようなものかわかりやすく解説ー

2023.11.17

Pocket

溶接の冷却方法は

金属に熱や圧を加えて、部品などを繋ぎ合わせる溶接。専門的な分野だけではなく、日常の身近な製品にも取り入れられている技術です。自動車の部品や精密機器のパーツなど、さまざまな製品で必要とされています。

熱や圧によって部品を繋ぎ合わせられるため、さまざまな用途で使われる溶接ですが、実は熱や圧の加え方や冷却方法によって、歪みなどの不具合が発生するときがあります。また、溶接を行う温度などの環境や材質、設計によっても、歪みが発生することがあります。歪みや不具合を発生させないためには、熱や圧の加え方のほかに、冷却方法も十分に考慮しなければなりません。

そこで今回は、溶接のときに発生しやすい歪みなどの不具合の対策をわかりやすく解説します。

 

熱や圧を加えると

金属に熱や圧を加えると、金属の表面が溶けます。融点に達した金属は、接合しやすくなり、この金属の特性を活用しているのが溶接です。金属は、熱や圧を加えなければ、非常に丈夫な素材です。しかし、融点に達すると形状を変えやすく加工しやすい素材なのです。

溶接は、金属の特徴を活用し、接合したい部品や素材に合わせて、形状を変えて、それぞれの箇所を繋げるというわけです。

また溶接には、部品を接合するのに多くの時間を必要としないというメリットもあります。加えて気密性が高いため、金属を融点から解放すれば再び丈夫な素材に戻るのです。

ただし、熱や圧を加えて部品を接合するときには、熱や圧の加え方だけではなく、それらを冷ます冷却方法に注意する必要があります。適切な冷却方法が施されないと、歪みが出たり、仕上がりが不揃いになったりするなどの不具合が起きます。

 

温度による変化

熱や圧を加える前後に発生する不具合のほとんどは、温度による変化の影響を受けます。

金属は、熱を加えると伸縮します。溶接は、この性質を利用して、物質を結合させるのです。熱が加わると膨張し、熱が冷まされると収縮することで、結合が完了します。つまり、熱の影響を利用しているため、温度の影響を受けやすいのです。

金属は、基本的に熱が均等に伝わるという性質を持っています。しかし、溶接は金属の表面など、接合したい一部分に熱を加え、冷まします。そのため、熱を加えていない箇所には、膨張や伸縮が起き、熱の影響の差が歪みなどの不具合を引き起こすのです。

溶接は金属が膨張や収縮する特徴を利用しているため、歪みなどの不具合は避けられません。しかし、冷却方法や設計を工夫することで、歪みの対策を講じられます。

 

歪みの原因は1つだけではない

溶接によって発生する歪みや不具合の原因は、1つとは限りません。熱や圧の加え方、冷却方法のほかにも、形状や材質によって、歪みの原因が異なります。また、金属の膨張や収縮にもさまざまな種類があります。ほかにも、歪みの原因がいくつも重なって起こることも少なくありません。

溶接を行うときには、想定される歪みや不具合を考え、熱や圧の加え方や冷却方法をあらかじめ検討しておく必要があります。また、あらかじめ熟考しても、実際に溶接を行っているときには、想定されていない原因で歪みが発生することもあります。そのため、溶接では慎重な作業が求められるのです。

 

ほかの原因も

溶接を行うときには、金属が膨張と伸縮をするだけではありません。金属は、熱から解放されたあと、凝固します。凝固が起こる前に、収縮にひずみなどが起きると凝固割れを起こします。

ほかにも、重ねて溶接を行うときには、凝固した部分に再び熱や圧が加わるため、金属が再び融解することもあります。再び融解すると、液化割れを起こすこともあります。

そのため、歪みが起きていなくても、ほかの不具合が起きていないか十分に注意しながら、作業を進めるようにしましょう。

また目視で十分に観察できないときには、蛍光探傷検査やX線透視試験、超音波探傷試験などを使って、不具合がないかを確認する方法があります。

 

低温の場合も

溶接で歪みなどの不具合が起こるのは、高温になるときだけではありません。溶接では、低温でも歪みなどの不具合が起きるのです。

また、あとから接合部分に割れが起こる遅れ割れが起こることもあります。

遅れ割れは、熱や圧の加え方や冷却方法に十分注意していても、水素が入り込むことで発生します。遅れ割れを防止するためには、熱や圧の加え方や冷却方法のほかに、水素が入り込まないように注意しましょう。また水素が入り、遅れ割れが発生したときには、水素を除去する処理を行うことで不具合を改善できます。

ただし、溶接直後には発生しないこともあるため、溶接が終わったあとも遅れ割れが起きていないか確認することが大切です。

 

溶接後に起きた歪みは

溶接で歪みなどの不具合を発生させないためには、熱や圧の加え方や冷却方法のほかにも、接合する箇所の設計や素材に配慮して、注意深く作業を進めることが大切です。

しかし、注意深く作業を進めても、溶接後に歪みが発生してしまうこともあります。

溶接後に発生した歪みの対策としては、歪みが発生した部分に熱を加える局部加熱矯正法を使うことが多いです。局部加熱矯正法のほかにも、機械で圧を加える機械的矯正法などもあります。

 

工夫

歪みは、熱が集中し、うまく解放されないときに起きやすいです。そのため、熱を集中させにくい工夫も大切です。

温度や熱の加え方を工夫するだけではなく、熱の逃し方や冷却方法を工夫することも歪みを防止するためには効果的です。

また、高温のまま熱が伝わりやすい素材を溶接するときには、熱伝導率を下げたり分散したりする母材を使うことで、熱の集中を避けられます。

ほかに、水を使った冷却方法もあります。溶接部分に濡れたタオルなどを当てて、急激かつ集中的な温度変化を避けることで歪みなどの不具合を避ける工夫を講じる方法です。

 

まとめ

さまざまな製品に活用される溶接は、熱や圧を加えて、金属の表面を融点に達しさせることで結合を可能にします。金属はひとたび融点から解放されると、再び丈夫な素材になるのです。これは金属の膨張と伸縮を活用した方法でもあります。

しかし、金属が膨張と伸縮をするときの温度変化や冷却方法がうまくいかないと歪みなどの不具合が発生するときがあります。

歪みが発生しにくい溶接のためには、熱や圧の加え方や冷却方法などに注意して慎重に作業を進めましょう。

千葉県市原市の株式会社エムズは、求人情報を掲載中です。当社は機械設置・溶接作業を中心に、地域の皆さまに寄り添ったサービスを提供しています。一人前の職人として知識や技術が身につきますので、未経験の方もお気軽にご応募ください。

会社名:株式会社エムズ

住所:〒290-0141 千葉県市原市ちはら台東6-1-16

TEL:080-5519-7454

営業時間:8:00 〜 17:00

定休日:日曜日

記事一覧へ戻る

ENTRY

ご質問・ご応募お待ちしております。

公式LINEから応募する メールで応募する 080-5519-7454