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ー溶接で起こる歪みを取るための方法をわかりやすく紹介ー
2023.10.27
接合して歪みが生じるときは
さまざまな金属や部材を接合するときに、溶接が使われていることを知っていますか?
溶接は建設現場だけではなく、電子機器や車のパーツを取り付けるときにも使われており、実は身近な製品にも広く使われている技術です。
溶接には、さまざまな方法があります。しかし、熱を利用して金属などの表面を変化させて接合させるため、部材によっては溶接部分に歪みが生じるときがあります。溶接によって歪みが生じたときは、部材を冷やすなどして歪み取りを行わなければなりません。
今回は、溶接で生じやすい歪みと、歪み取りの方法について、わかりやすく紹介します。
溶接の仕組みは
溶接は、熱を加えることで溶けるという金属の特性を活かした仕組みです。溶接棒などを使って接合したい箇所に熱や圧を加えます。熱や圧を加えられた金属が融点に到達すると融解し始めます。金属が融解すると変形しやすくなるため、加工しやすくなるのです。
金属が熱や圧によって融解すると、変形しやすく、接合箇所に合わせた形状で接合できるようになります。
また溶接は、時間をかけずに接合できる方法であります。ただし、金属に熱を加えて表面を変形させ、接合するときには、加えた熱を適切に冷まさなければなりません。加えた熱が適切に冷まされなかったり、形状に合わせた冷却方法が選ばれなかったりすると、溶接の十分な効果が発揮されず、歪みが生じることがあります。
温度の変化によって起きる歪み
溶接は、熱を加えたり、冷ましたりして、接合したい部材の表面に温度の変化を起こすことで可能になります。金属は熱が加わることで融解することに加えて、伸縮する特性があるのです。
熱が加わったことで膨張した金属は、反対に温度が下がることで、収縮します。溶接は、金属の一部にだけ熱を加えることで、膨張と収縮を起こし、接合を可能にします。しかし、熱を加えたときにどうしても膨張と伸縮に差が生まれるのです。この差が溶接のときにおきる歪みです。つまり、熱を加えて、金属に膨張と収縮を起こして接合を試みる以上、歪みは避けられないのです。
ただし、金属全体に熱を加えるなど、均等に熱が伝わるときには、膨張や収縮は起きません。また、歪み取りをしたり、部材に合わせて適切に温度を下げたりすることで、歪みを減らした仕上がりにできます。
歪みを起こさないためには
どのような部材を接合するかや、どのような形に接合するかによって、歪みが起きる条件が異なります。つまり、溶接で起きる歪みには、さまざまな種類があるのです。溶接方法によって、膨張や収縮が異なるため、生じる歪みも異なり、歪み取りの方法も異なると考えるとわかりやすいです。
歪みを起こさないためには、まず溶接の作業前に、歪みを想定することが大切です。考えられる膨張や収縮に対して、熱の加え方や冷まし方を検討し、部材や形状に合わせた溶接を行うようにしましょう。
ひずみや凝固割れが起きることも
熱を加えて膨張や収縮をさせて、部材を接合するときに起きるものは、歪みだけではありません。金属が凝固するときには、凝固割れを起こしたり、収縮前にひずみが出たりすることがあります。また、部材を重ねて接合するときには、凝固した部分が再び融解してしまうこともあります。再び融解した部分は、強度が落ちるため、液化割れなどを起こします。
そのため、部材に熱を加えて冷ましたときに、接合部分に歪みが起きていなくても、ひずみや凝固割れなどが起きていないか確認するようにしましょう。
また、目視では不十分な場合は、蛍光探傷検査を使う方法もあります。内面の割れを確認するときには、X線透視試験や超音波探傷試験などを使うと良いでしょう。
不具合が見つかったときには、歪み取り以外にも適切な対策を講じる必要があります。
熱以外の原因
歪みが生じて、歪み取りが必要になるのは、金属に熱を加えて、膨張や収縮をさせて接合させるためです。しかし、歪みが生じるのは、熱を加えるときだけではありません。適切な温度を逸し、低い温度で接合したときにも、歪みが生じるのです。
ほかにも、炭素量が多かったり、硬化性の高かったりする物質を接合するときには、時間が経ってから歪みや割れが生じ、歪み取りが必要になることもあります。応力のある部材では、割れが遅れて起こる遅れ割れがしばしば起きるのです。遅れ割れは水素が部材に入ったときに起きやすく、水素を取り除くことで割れを止められます。
歪みや割れは、接合し、温度が下がり始める段階で起こるものだけではなく、時間が経ってから起こるものもあります。また、熱以外にも部材の組成が原因で起こるものもあります。溶接直後には、歪みや割れを確認できなくても、遅れ割れなどの不具合が起きていないか確認が必要です。
溶接後の歪み取りは
部材を接合するときに、歪みを生じさせないようにするためには、部材に合わせた溶接方法や温度の変化に注意しなければなりません。しかし、溶接作業を終えたあとであっても、歪みを起こさないようにする対策があります。
溶接後の歪み取りの方法は、局部加熱矯正法と呼ばれるものです。溶接による熱を加えたことで歪みが生じた部分に再び熱を加える方法です。再び熱を加えることで、歪み取りを行うのです。
歪み取りには、局部加熱矯正法以外にも、機械で熱を加えて歪み取りをする機械矯正法などがあります。収縮によって起きた歪みを引き延ばして歪み取りを行う方法です。ほかにも、熱の冷まし方を変えて、歪み取りを行う方法もあります。
まとめ
金属などの部材に熱や圧を加えることによって接合を可能にする溶接。さまざまなものを接合できるため、広く使われる技術です。身近な製品に用いられていることも少なくありません。
溶接では、部材に合わせた熱の加え方や冷まし方をしなければなりません。金属などでは、膨張や収縮によって溶接箇所に歪みが生じ、歪み取りが必要になります。
溶接作業をする前に、どのような歪みが生じるかを想定し、必要な対策を講じるようにしましょう。歪み取りには、熱の加え方や冷まし方を部材に合わせるほかにも、再び熱を加えたり、機械を使用して収縮を変化させたりする方法もあります。
必要な知識と技術を使って、適切な溶接を行うようにしましょう。
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