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ー肉盛りとはどんな溶接方法?溶射との違いや加工のコツを解説ー

2024.02.09

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一般的に溶接といえば、高温にした金属同士を接合する技術を思い浮かるでしょう。

溶接には、修理や補強に適した肉盛りという加工方法があります。

この記事では性能の向上なども見込める肉盛りについて、溶射との違いや加工のコツ、メリット・デメリットの解説をします。

肉盛りについて知りたい方は参考にしてください。

 

肉盛り溶接とは

肉盛り溶接とは、基材の表面に目的に応じた金属を溶接することによって盛り上げる技術です。

肉盛り溶接の目的は、摩耗や腐食によって損傷した部品の形状を復元したり、耐摩耗性や耐食性などの特性を付加したりすることです。

肉盛り溶接は、機械部品や金型などの補修や改良に広く用いられています。

 

肉盛り溶接の方法は、溶接棒や金属粉末を用いてアーク溶接やガス溶接、レーザ溶接などの溶接方法で行います。

溶接の際には、母材と肉盛り金属の溶け込みや希釈を適切にコントロールすることや、予熱や後熱を行って溶接部の残留応力や割れを防ぐことが重要です。

溶接後は機械加工や熱処理を行って、所要の寸法や硬さに仕上げていきます。

 

肉盛り溶接の特徴は、母材の強度や靭性を損なわずに表面に高性能な金属層を作成できることです。

部品の寿命を延ばすことや性能を向上させること、部品の交換や新規製作に比べ、コストや時間を節約できるメリットがあります。

 

肉盛り溶接での補修方法

肉盛り補修とは、損傷した金属の部品や機器の表面に別の金属を盛り付けて、形や性能を回復させる方法です。

肉盛り補修には、表面改質と形状復元の二つの目的があります。

 

表面改質とは、部品や機器の表面に耐摩耗性や耐食性などの特性を持つ金属を肉盛りすることで、寿命や効率を向上させることです。

たとえばボイラーや熱交換器などの高温で使用される機器には、低合金鋼やステライトなどの耐熱性の高い金属を肉盛りすることがあります。

 

形状復元とは、部品や機器の表面が腐食や摩耗などで減ってしまった場合に、元の形に近づけるように金属を肉盛りすることです。破砕機やロールなどの摩耗しやすい機器には、肉盛りによって厚みや形状を補修することがあります。

 

肉盛り補修には、さまざまな溶接方法が使われます。一般的には、アーク溶接やガス溶接などの電気や熱で金属を溶かす方法が多いです。肉盛り補修の際には、溶接材料の種類や量、溶接条件や手順などを適切に選択することが重要です。

また肉盛り補修後には、溶接部の品質や強度を検査することも必要になります。

 

肉盛り溶接のメリット・デメリット

肉盛り溶接のメリットには、以下のようなものがあります。

 

メリット

・母材の強度や靭性を損なわずに、表面に高性能な金属層を作ることができます。

これにより、耐摩耗性や耐食性などの特性を付加したり、摩耗や腐食によって損傷した部品の復元が可能です。

 

・部品の寿命を延ばしたり性能を向上させたりすることができ、部品の交換や新規製作に比べると大きなコスト削減になります。

また母材と肉盛り層との接合部は溶融しているので、強固な結合が得られ、溶射やメッキに比べて厚い層が形成できるので耐久性が高くなります。

 

・溶接方法や肉盛り金属の種類によって、さまざまな用途や環境に対応できるので、アーク溶接やガス溶接、レーザ溶接など選べるほか、ステライトや銅などの肉盛り金属を選択できます。

 

デメリット

肉盛り溶接には、アーク溶接やガス溶接などのさまざまな方法があり、どの方法にも以下のようなデメリットがあります。

 

・溶接部が高温になるため、変形やひび割れが起こる可能性があります。

特にステンレス鋼の場合は、溶接時の高温割れを防止するためにフェライトを二相組織にする必要があり、量が適切でないと熱処理による脆化が起こるでしょう。

 

・溶接材料の消費量が多く、コストが高くなる場合もあります。

肉盛り溶接は、母材の表面に溶接材料を積み重ねるため、溶接材料の太さや種類によっては、多くの溶接材料が必要になります。

また溶接材料の種類は、母材の材質や性能に合わせて選択するので、特殊な合金や添加物を含む溶接材料だと高価になりがちです。

 

肉盛りと溶射の違い

補修や表面改質を行う肉盛りと溶射、この二つの違いを比較します。

 

肉盛り

肉盛りとは、溶接棒やワイヤーなどの溶接材料を溶かして基材の表面に積み重ねることで厚みや形状を変え、耐摩耗性などの性能を向上させる方法です。

肉盛りには主にアーク溶接やガス溶接などが使われ、以下のような特徴があります。

・基材と溶接材料が混ざり合うため、接合強度が高い。

・厚みや形状を自由に変えられるため、修理や補強に適している。

・溶接材料の種類によって、さまざまな性能を付与できる。

 

溶射

溶射とは溶接材料を粉末や線状にして溶かし、高速の気流や電磁力で基材の表面に吹き付けることで薄い被覆層を形成する方法です。

溶射にはフレーム溶射やプラズマ溶射などの溶射方法が使われ、以下のような特徴があります。

・基材が低温に保たれるため、熱影響による変形やひび割れが少ない。

・溶接材料の消費量が少なく、コストが低い。

・溶射部の品質を検査しやすい。

 

肉盛り溶接のコツ

肉盛り溶接では、母材と溶接材料の溶け込みや溶ける速さが電流によって影響されます。

電流が高すぎると溶接部が割れたりスパッタが多くなり、逆に電流が低すぎると溶接部が凸になり、溶け込みが浅くなってしまいます。

 

電流を決めるときには母材の材質や厚さ、溶接材料の種類や太さ、溶接姿勢や速度などを考慮するのが重要です。

一般的には板厚が厚くなると電流を高く、薄くなると電流を低くします。下向きの溶接では電流を高くし、上向きや立向き姿勢での溶接では電流を低くしてください。

電流を調整するときには、溶接部の形状やスパッタの量などを観察して、適切な電流になっているかを確認することがコツになります。

 

まとめ

肉盛りとは溶接部分に厚く金属を盛り上げる溶接方法です。

溶射とは異なり、溶接部分の金属が溶けて一体化するため、強度や耐食性が高いという特徴があります。

肉盛りはさまざまな補修や強化に広く利用されている重要な技術です。

もの作りを仕事にしたい方は、この記事で紹介したコツなどを参考に溶接工を目指してみてはいかがでしょうか。

 

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