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ー溶接とは?主な種類やメリットデメリットも合わせて紹介ー
2024.03.29
「溶接について理解を深めたい」
「種類別の特徴を知りたい!」
溶接という言葉を知っている人は多いかもしれません。しかし、種類やメリット、デメリットなどを詳しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
溶接とは、金属同士をくっつける加工方法のことを指し、材質や母材によって溶接方法が異なります。
今回は、主な溶接の種類やメリット、デメリットについて溶接のプロが詳しく解説します。
溶接に興味がある人や知見を深めたい人は、この記事をぜひ参考にしてください。
溶接とは何か?
溶接とは、金属同士をつなぐ加工方法のことです。
金属は、熱を加えて溶かしたり圧力を加えたりすると溶けだす性質があります。この性質を活かし、くっつけたい金属同士を溶かして混ぜ、冷却して接合するのが溶接です。
溶接には、さまざまな種類があり、母材や材質によって方法は異なります。また、溶接とは技術が必要となる作業で、経験を積んだり資格を保持したりするほど、より難易度の高い作業ができるようになります。
溶接の主な種類を紹介
ここでは、溶接の主な種類について解説します。
融接
融接は、基本的な溶接方法で、二つの金属の接続部分を熱を加えて溶かし、冷却して固めることで接合する方法です。火花が散っているような溶接は、融接に分類されます。
融接は、板の厚みがあり大きい材料同士を接合するケースで用いられ、比較的安い設備での作業が可能です。その分、溶接者の技量により品質が左右されることも多く、毎回同じ仕上がりにすることは難しいとされています。
融接は主に「アーク溶接」「ガス溶接」「レーザー溶接」の3つにわけられます。
アーク溶接
アーク溶接とは、電気の放電現象を利用して、金属を溶かし接合する溶接方法です。
溶接する母材と電極棒に電圧をかけ、二つの電極間に電流が流れると、アークと呼ばれる強い光と熱が発生します。このアークの熱を利用して溶接するのがアーク溶接です。
この溶接は、高い熱を放出し、融点が高い金属にも対応しているため、多くの産業分野で使用されています。
ガス溶接
ガス溶接とは、可燃性ガスと酸素が燃焼することで発生する熱を利用した溶接方法です。
アーク溶接に比べると、強い光は発生せず、温度調整がしやすいため、不良を起こしにくくなっています。一方、発生する熱が弱いため、長く加熱する必要があり、作業に時間がかかります。
ガスを取り扱う際には、細心の注意をしなければならないため、作業者は「ガス溶接技能者」と呼ばれる資格が必要です。
レーザー溶接
レーザー溶接とは、レーザー光を発射させて溶接する手法です。照射するレーザー光はかなり強いため、母材を溶かして接合可能です。
レーザーは細かいコントロールが可能であるため、精密機器や融点が異なる材料など、さまざまな素材の溶接に対応しています。熱量が少なく、ゆがみのない溶接を早く行えます。
圧接
圧接は、接合部分を加熱し機械で圧力を加えながら接合する方法です。機械で圧力をかけることで、作業者の技術度に関係なく一定の品質を保てます。
圧接は、接合部分の面積が広い材料の溶接方法として用いられます。また、短時間で溶接できるため、大量生産する製品に向いていますよ。ただし、母材が厚い場合は、溶接が不十分となる場合もあるので、薄い板材の溶接に適しているでしょう。
融接は主に「スポット溶接」「シーム溶接」の2つにわけられます。
スポット溶接
スポット溶接とは、電極棒で溶接部分を挟み込んで電流を流し、発生した熱を使用して接合する手法です。
スポット溶接は、名前の通り溶接した場所が点のように小さいことから、他の度の溶接よりも仕上がりがきれいになります。また、薄板同士の溶接に適しており、三枚以上の板を数秒で溶接できる手軽さも大きな特徴です。
シーム溶接
シーム溶接とは、ローラー状の電極を使用し線状に溶接する方法です。スポット溶接と同じように、電流を流しながら接合します。
線が続く形で接合することから気密性が高く、電化製品や燃料タンクなどの気密性が求められる製品によく使用されますよ。
シーム溶接では、人の作業は装置に設置するのみであり、他の作業は機械が行ってくれます。そのため、溶接の経験が少ない人であっても、十分な品質に仕上げられるでしょう。
ろう接
ろう接とは、母材よりも低い温度で溶解する、金属の溶加材を使用して接合する方法です。
融接や圧接では、母材を溶かして接合します。しかし、ろう接では母材を溶かさずに接合するため、熱による変形が少なく、本来のデザインを保ったまま溶接できるのです。
一方、溶加材を使用しており、母材同士は接合されないため、他の溶接方法より強度は劣るでしょう。
溶接のメリット3選
ここでは、溶接のメリットを解説します。
1.気密性・水密性が高い
溶接によって気密性や水密性が高まります。
ねじやボルトによる接合では、すき間ができてしまうでしょう。溶接では、金属同士を溶かすため、隙間ができず、水漏れや液体の侵入を防げるのです。
2.製品の重量が変わらない
溶接では、製品の重量が増えません。
部品を使用する溶接の場合、全体の重量が増すことは避けられません。しかし、溶接では、材料自体を溶かして接合するため、重量が増えないのです。製品を軽量化したい場合は溶接が向いています。
3.自由度が高い
溶接は、さまざまな継手の大きさや形状に対応可能であるため、自由度が高くなります。
溶接する製品の種類や材質によって適した手法を選択できるため、幅広い製品を接合できるのです。
溶接における3つのデメリット
溶接にはさまざまなメリットがある一方で、注意しておくべきデメリットも存在します。
1,寸法精度の維持が難しい
溶接は、接合部分を溶かすことから、寸法精度を維持することが難しくなります。
接合部分を溶かした部分は液体になり、流動的になることから、長さや厚みなど寸法の精度を保てない場合があるのです。特に、細かい製品においては維持が難しくなるため、接合場所を慎重に確認しながら行う必要があるでしょう。
2.特有の欠陥が発生する
溶接には、独自の欠陥や不良が発生する可能性があります。欠陥の種類によっては、接合強度が低下したり破損したりするため、注意が必要です。
ただし、こういったデメリットは、技術や正しい溶接方法の知識があればカバーできるでしょう。
まとめ
今回は、溶接の種類やメリット、デメリットなど溶接の基本的な知識について解説しました。
溶接とは、金属同士を接合する加工方法で、溶接の目的や母材によって異なる溶接手法が用いられます。
溶接においては、実務や資格取得を通して各溶接方法の知識を増やし、幅広い経験を積むことで、高品質に仕上げられるようになるでしょう。
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