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溶接の技術とは?その種類や定義・歴史・代表的なアーク溶接も紹介
2023.09.15
溶接は、日本が高い技術を持つ金属などの材料を接合する方法です。
一方、その実力の反面、知名度が今一つで、具体的にどのような技術か分からないという方も多くいるのが現実です。
そこで今回は、溶接の技術というテーマで、その定義や歴史、種類、そして溶接技術でも代表的な技術の一つである、アーク溶接について解説します。
溶接の定義や歴史とは?
最初に溶接とはそもそもどのようなものなのか、定義や歴史について解説しましょう。
まず溶接の定義として、「熱又は圧力もしくはその両者を加え、さらに必要があれば適当な溶加材を加えて、部材を接合する方法」です。
つまり、熱を加えたり、圧力を加えたり、必要に応じて溶加材を追加したりして素材をつなげることを言います。
これは、必ずしも人が行う必要がないため、工場などのライン作業で使用される工作機械による自動溶接や手作業と補助的に機械を使った半自動溶接も溶接に含まれます。
このような溶接作業に加えて、熟練した技術者である溶接工が手作業のみで行う手溶接があります。
こういった金属などをつなげる技術によって、建物を建てる建設現場はもちろんのこと、橋梁や船舶、乗用車、さらには航空機といったもの、加えて各種の工業製品が溶接され生産されています。
次に溶接の歴史を見ていきましょう。
溶接の歴史は古く、技術自体は実に紀元前3000年前とされています。
日本では、まだ主要な文明が起こる前の縄文時代の頃にはすでに海外で溶接技術が誕生していたのです。
技術が誕生したのは古代エジプトで、当時は鍛接(たんせつ)と呼ばれる金属同士を叩いてつなげる溶接技術が用いられていました。
これは、圧力による溶接であり、多くの方がイメージするような火花を散らしてつなげる溶接とは異なった種類の溶接です。
溶接技術が最も分かる歴史的遺物として、紀元前1350年ごろに作られたツタンカーメンの埋葬品の中に鉄製の鍛接した装飾品が確認されています。
このように古い技術ではあるものの、現在に至ってもなお新しい技術が開発されており、人類の歴史と共に歩んできた工業技術といっても過言ではありません。
主な溶接の技術
溶接には、その方法によって次の3種類に大別できます。
・融接
・ろう接
・圧接(あっせつ)
融接は、一般的な溶接方法として知られているものです。
後述するアーク溶接のほか、ガス炎、レーザーなどの熱エネルギーで金属などを溶かして接合します。
火花を散らせて作業をする溶接をイメージする方が多いと思われますが、まさにそういった溶接作業が融接の一種になります。
ろう接は、金属同士の間にそれらの金属よりも低温で溶ける溶加材と呼ばれる金属を流し込んで溶接する方法です。
アルミや銀など比較的融点が高い金属に使用するロウ付けや亜鉛、スズといったはんだ付けが挙げられます。
いずれも溶加材の位置や目的の金属の位置に注意を払って施工する必要があります。
圧接は、先ほどの歴史でも紹介した、古くからある溶接方法です。
厚みが少なく、比較的薄い素材に対して用いられている溶接方法です。
素材の接合面をあらかじめ熱しておき、素材通しを重ねて圧力を加えます。
昔は、ハンマーなどで叩いて圧力を加えていましたが、現代では電気抵抗による加熱を行った抵抗溶接を行っています。
代表的な溶接技術の一つ「アーク溶接」について
溶接技術には多くの種類があります。
ガスによるものや強力な圧力によるものなど、その手段は多彩です。
それらの中でもアーク溶接はアーク放電による火花、つまり電気の力で金属を溶かしてつなげる融接技術です。
基礎的な方法として、工業高校や職業訓練校でもトレーニングを受けられる溶接でもあります。
このアーク溶接は、アーク溶接特別教育と呼ばれる資格があります。
昭和47年に義務付けられた資格で、この講習を受けないとアーク溶接作業に従事できません。
アーク溶接にも種類が存在し、被覆アーク溶接、ガス・シールドアーク溶接といった手アークと呼ばれる種類、あるいは機械を使用した半自動アークや自動アークがよく知られています。
アーク溶接特別教育を受ければ、これらの一連の作業が可能です。
補足として、この特別講習の難易度なども解説しましょう。
アーク溶接特別教育は講習さえ休まずにきちんと受講すれば、基本的に合格できます。
特にペーパーテストは点数のボーダーが低く、ほとんどの方が合格します。
一方で、脱落者が出てしまうのが実技講習です。
ここでは実際にアーク溶接をしなければなりません。
課題によっては、練習していないものが出た場合、うまく溶接できない場合もあります。
そのため、実技講習が難しく、講師から合格点が与えられないケースもあるので、溶接技術は常に練習しておくようにしましょう。
さらにアーク溶接には、技術レベルを評価した資格として、溶接技能者資格があります。
これは、日本溶接協会がJIS(日本産業規格)、WES(日本溶接協会規格)などの検定試験規格を基準にした資格で、溶接技術の細かな評価ができる資格です。
基本級と専門級、そして溶接材料の種類、溶接材料の厚さ、さらに溶接姿勢、溶接方法などの条件を組み合わせた数十種類の資格があります。
これらの資格取得状況を見ることで、その技能者が持つアーク溶接の技術力が分かる仕組みです。
実務で技術を磨くと同時にこれらのアーク溶接特別教育で作業ができる資格を取得し、溶接技能者資格で技術の証明を行っていくことが重要です。
なお、これらの資格はアーク溶接を行う技能者の能力や作業ができる証明でもあるため、履歴書に書ける資格です。
特にアーク溶接特別教育講習は国家資格なので、むしろ必ず書くべきです。
まとめ
溶接は、現代において重要な工業技術の一つです。
機械化されている分野があるものの、いまだに多くの現場では熟練された技術者による、高い能力が求められています。
そのため、今後も需要が下がることはないといえるでしょう。
一方、その技術を保証する資格取得も重要なので、実務経験を積みつつ、技術を証明する資格試験を受験して技術と知識の向上を続けていくことが重要です。
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