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ー溶接で温度は重要?溶接法別の温度と押さえておきたいポイントを解説!ー

2024.06.14

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溶接と温度の関係はしっかり理解できていますか。溶接と温度の関係をわかっていないと作業に時間がかかってしまったり、無駄な出費が発生してしまったりするでしょう。

 

本記事では、溶接で温度が重要な理由と各溶接方法の温度の違い、溶接時に押さえておきたいポイントまで記載しています。

 

問題を事前に対策すれば、溶接での失敗を防ぎ、溶接で成果を残せることがあります。スキルアップにつながることがあるため、よく確認しましょう。

 

溶接で温度はさまざまな場面で重要

温度を高温にして溶接を行うため、溶接と温度の関係性はとても重要です。温度の理解が不十分だと割れが発生したり湾曲が起こってしまったり、作業に支障が出てしまいます。よく確認し、温度を味方にしていきましょう。

 

溶接前の予熱

予熱とは、溶接前に母材を加熱することです。予熱を行う理由は、以下のとおりです。

  • 割れの防止
  • 機械的性質の向上
  • 変形の低減
  • 硬化の防止

予熱を行うことで、冷却時間が長くなります。予熱であらかじめ母材を温めておけば、母材に熱がたまり、溶接後に急激に冷えてしまうことを防げます。

 

母材の急激な冷えは、硬化して脆くなったり割れが発生したりする原因です。溶接をする時は、予熱をしっかり行うことで問題につながってしまうことを防げるでしょう。

 

溶接後の直後熱

直後熱とは、溶接後に溶接部を加熱することです。直後熱を行う理由は、以下のとおりです。

  • 割れの防止
  • 硬化の防止

溶接後に溶接部が冷える速度が早いと、拡散水素を十分に排出できず、割れにつながってしまうことがあります。割れが発生してしまうと、改めて溶接をしなければならないため手間が増えてしまうでしょう。

 

作業時間を無駄に増やさないためにも、直後熱を行い、溶接を確実なものとします。

 

溶接時の気温

溶接の時に気温が低いと、低温割れや強度低下、脆性化の恐れがあるため注意が必要です。気温によって条件が変わるため確認しましょう。

気温 条件
-5℃未満 溶接できない
-5℃以上5℃以下 接合部より100mmの範囲で母材を予熱する

気温が極端に低いと、母材にかかる負担は大きいです。物質は、温度が高い場合は膨張し、低い場合は収縮するため、温度差が激しい状態で作業すると安全面に欠けてしまいます。周辺環境を気にしながら作業を行えると、頑丈で安全な溶接ができるでしょう。

 

溶接ごとの温度とは?

溶接方法によって溶接する時の温度に違いがでます。温度の差によってできることとできないことが分かれます。間違った溶接方法で溶接してしまうと強度が劣化してしまったり、作業に時間がかかったりしてしまうでしょう。特徴を掴み、作業に活かしてください。

 

アーク溶接の温度は5,000~20,000℃

アーク溶接の温度は、約5,000〜20,000℃です。太陽の表面温度が6,000℃と言われているため、それよりも高い温度を出すのがアーク溶接になります。

 

アーク溶接は、電気現象を利用し熱と光を出す方法です。鉄の融解温度が1,500℃〜であるため、高温で溶かし溶接ができます。

 

アーク溶接が利用される場面は、以下のとおりです。

  • 自動車
  • 鉄道車両
  • 航空機
  • 建築物
  • オフィス用品

大きいものから小さいものまであらゆる金属加工にアーク溶接は使われています。

 

アーク溶接をする際には、強い光だけではなく、紫外線や赤外線が発生するため、遮光保護具を使用する必要があります。保護具をしていないと人体に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

 

ガス溶接の温度は3,000~3,500℃

ガス溶接の温度は、3,000〜3,500℃です。ガス溶接は、アーク溶接よりも温度が低いため、融点が低い金属や薄いものを溶接するのに適しています。

 

ガス溶接で使用されるガスは、アセチレンやプロパン、都市ガスなどです。アセチレンと酸素を混合させて溶接することが一般的です。アーク溶接と比べて火力は出ませんが、電力がない場所でも溶接ができる利点があります。

 

ガス溶接が利用される場面は、以下のとおりです。

  • エアコンの配線
  • 航空機のタービンブレード
  • 車の部品

ガス溶接は、アーク溶接と比べて比較的小さいものに適しています。また、ガス溶接は、ガスを取り扱うため安全対策が必須です。大きな事故につながらないよう、作業毎に確認をしていくことが必須になります。

 

溶接時に押さえておきたいポイント3選

溶接時に大切なポイントを押さえていますか。ポイントが不十分だと割れが発生しやすかったり熱中症で倒れたりしてしまうでしょう。問題は起こる前に事前に防げます。しっかりとポイントを押さえて対策していきましょう。

 

1.熱影響部を理解しておく

熱影響部とは、溶接金属を母材に付けた時に熱反応する場所のことです。熱影響部は溶接金属の部分から、以下のように名前が付けられています。

  1. 溶接金属
  2. 粗粒域
  3. 混粒域
  4. 細粒域
  5. 球状パーライト域
  6. 脆化域
  7. 母材

溶接金属に近ければ近いほど温度は高くなり、母材に近づくほど低くなります。細粒域は、割れが発生しやすい部分です。そのため、急速に冷やさないことが重要です。

 

2.溶接後熱処理を理解しておく

溶接後熱処理とは、溶接後の溶接部を加熱し保持した後に、冷却することです。溶接後熱処理を行う理由は、以下のとおりです。

  • 熱影響部の引張残留応力の低減
  • 溶接部の水素放出
  • 機械的性質の改善
  • 税質や組織の改善

溶接後熱処理は、金属変化が発生しない約550〜750℃の温度で加熱します。適切に溶接後熱処理を行えれば、割れが発生してしまうことを防げるでしょう。

 

3.溶接時の気温を理解しておく

溶接は気温に大きく影響されやすいです。雨が降っている時にアーク溶接を行うと感電のリスクがあります。また、湿度が90%以上になると、溶接棒が湿ってしまい、割れの原因になります。

 

溶接作業を夏に行う場合は注意しましょう。溶接作業をする時、防護マスクや防護服の着用は必須です。暑い中、防護服を着ていると、内側に熱が籠りやすく熱中症になってしまうことがあります。スポットクーラーや防護服に冷間システムが付いている服を準備しましょう。

 

まとめ

本記事では、溶接で温度が重要な理由と各溶接方法の温度の違い、溶接時に押さえておきたいポイントまで記載しました。温度の理解が不十分だと、溶接金属を母材につけても、割れが発生してしまい作業が無駄になってしまいます。溶接と温度の関係をしっかりと理解しておきましょう。

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