新着情報
ーアークとはどんな溶接方法?仕組みや種類・仕事内容の解説ー
2024.01.26
溶接といえば、火花が飛び散る様子を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
火花の正体は「アーク」と呼ばれる高温の光です。
気体が放電することで発するアークを用いた溶接は、最もポピュラーな溶接方法であり幅広いジャンルで使われています。
ここではアーク溶接の基本と、どのような分野で活躍できるかを紹介します。
溶接の仕事をしてみたい方は参考にしてください。
溶接の基本「アーク」とは?
アークとは気体の放電現象の一つです。
溶接に使うアークは、炭素やタングステンなどでできた電極を接触させ、離れた母材との間に電流を流し発生させます。
普段見ることができるアークとしては、コンセントからプラグを抜くと出る火花がその例です。
アークは電極から母材へ弧(Arc)を描いて広がり、高温と強く発光するという特色があり、その高温を用いた溶接方法がアーク溶接です。
アーク溶接の歴史は古く、19世紀には既にアークを使って金属を溶接する研究が行われていました。
実用化されたのは20世紀に入ってからで、第二次世界大戦の時期にはアーク溶接は船舶や航空機などの重工業に広く用いられました。
その後は自動車や建築などの工業に普及し、現在ではアーク溶接は世界中で最も一般的な溶接法となっています。
アーク溶接の特徴
アーク溶接とは、電極と母材の間にアーク放電を発生させて、金属を溶かすことで接合させる方法です。
次のような特徴があります。
高温であらゆる金属を溶接できる
アーク放電の温度は5,000度から20,000度にもなり、鉄やステンレス、アルミなどのさまざまな金属を溶融させることができます。
またアークの熱は集中性が高いため、ビード幅(溶接部分の幅)が狭く歪みが少ない溶接が可能です。
溶接速度が速い
アーク溶接は、溶接棒やワイヤーを溶かしながら溶接する消耗電極式と、溶加材を別に用意して溶接する非消耗電極式に分けられます。
どちらも高い電流密度でアークを発生させるため、溶接速度が速いのが特徴です。
特に非消耗電極式のプラズマ溶接は、アークを絞るノズルを使って、さらに高速で高品質な溶接ができます。
溶接機の操作が比較的簡単
アーク溶接は電極と母材の間に電圧をかけるだけでアークが発生するため、溶接機の操作は比較的簡単です。
またガスシールドアーク溶接と呼ばれる、アルゴンガスやヘリウムガスなどの不活性ガスで溶接部を保護する方法は、スパッタ(溶けた金属)や酸化を防ぐことができます。
アーク溶接の種類
アーク溶接は電極が溶融して消耗するため、大きく分けると「消耗電極式溶接」と「非消耗電極式溶接」の二つになります。
消耗電極式溶接
電極が溶融して消耗しながら溶接を行う方法で、電極は溶加材としても機能します。
被覆アーク溶接
消耗電極式溶接の中で最も一般的なのが被覆アーク溶接で、屋内外で手軽に行える溶接法です。
心線と呼ばれる金属棒にフラックスや保護材などを巻き、被覆層をつけた溶接棒を電極として、アークを発生させて溶接します。
被覆アーク溶接では、被覆層が溶接部にシールドガスやフラックスを供給することで、アークの安定性や溶接品質が向上しています。
シールドガス
シールドガスとは、アークと溶融の金属部分を大気から遮断するガスです。
被覆層に含まれる炭酸カルシウムやセルロースなどが高温のアークによって分解され、二酸化炭素や水素などのガスが発生します。
酸素や窒素の侵入を遮断することで、溶接金属の酸化や脆化を防ぎ溶接品質が向上します。
フラックス
フラックスとは、被覆アーク溶接棒の周りに塗布された粉末状の被覆剤です。
フラックスには外気を遮断し、アークを安定させ溶融金属を保護するなどの役割があり、シールドガスを使用せずに溶接ができます。
非消耗電極式溶接
電極が溶融しない溶接法です。
非消耗電極式溶接は、電極が消耗しない溶接法で、タングステンなどの合金を電極として使います。
非消耗電極式溶接の代表的なものにTIG溶接、プラズマ溶接があります。
TIG溶接
タングステン イナート ガスの略称で、電極と母材との空間にアークを発生させて溶接します。シールドガスにはアルゴンやヘリウムといった不活性のガスを使い、高品質な溶接金属が得られるため高級鋼などの溶接に多く用いられます。
プラズマ溶接
TIG溶接と似て、ノズルとプラズマガスが電極を包み込むことでアークを絞っているため、より細かい範囲の溶接が可能です。
電極の消耗が少ないので長時間の連続溶接が可能になります。
アーク溶接はものづくりに欠かせない技術
溶接の技術は金属の加工に欠かせません。
アーク溶接の技術は幅広い分野で必要とされています。そのため、高度な技術を習得すれば、どのような現場でも重宝されるやりがいがある仕事です。
溶接は自動車部品や建築材料といったものから、金属アクセサリーや家具など種類を問わず、金属製品の加工に使われます。
工場では精密機械や家電などの小さな金属の溶接を、建設現場では配管や建築材・船舶などの大きな金属の溶接や溶断をします。
活躍できる分野
アーク溶接は、金属加工を扱うさまざまな分野で需要がある仕事です。
代表的な活躍できる分野には、次のようなものがあります。
建築業
高い強度と耐久性を持つ溶接部を作ることができるため、鉄骨や鋼板などの建築材料を溶接するのにアーク溶接が用いられます。
さまざまな形状やサイズの材料に柔軟に対応できるのも利点です。
自動車業
アーク溶接は軽量で高性能な溶接部を作ることができるため、車体やエンジンなどの自動車部品の溶接に使われます。
船舶業
船体やプロペラなどの船舶部品を溶接するのにアーク溶接が用いられます。
アーク溶接は大型で厚い材料を溶接することができるほか、海水や塩分に対する耐食性や耐久性を持つ溶接部を作ることができます。
まとめ
ここではアークとはどのような溶接方法なのかについて解説しました。
私たちの身の回りにあるさまざまな製品や構造物にはアーク溶接が使われています。
アーク溶接の需要は高くさまざまな工業分野で活躍ができ、金属を扱うものづくりには欠かせない技術です。
アーク溶接は、高度な技能と知識を身につけることができるやりがいのある仕事です。
これから挑戦してみたいと思った方は、ぜひ求人ページからご応募ください。
千葉県市原市の株式会社エムズは、求人情報を掲載中です。当社は機械設置・溶接作業を中心に、地域の皆さまに寄り添ったサービスを提供しています。一人前の職人として知識や技術が身につきますので、未経験の方もお気軽にご応募ください。
会社名:株式会社エムズ
住所:〒290-0141 千葉県市原市ちはら台東6-1-16
TEL:080-5519-7454
営業時間:8:00 〜 17:00
定休日:日曜日
ENTRY
ご質問・ご応募お待ちしております。